可児市の歯医者に行く

長いこと、そのことからは目をそらしていた。
そのままにしておくといけないということはわかっていたはずなのに、それをあえて遠ざけていたのだ。
なぜか、と言われれば、そのことに目をやると、きっと自分自身に返ってくるのは、まさしく痛みそのものだということに、気づいていたからに他ならない。
しかし、もうそんな風に現実から逃げることはやめなければならないと思った。
だから、私は意を決してタウンページを手に取り、可児市の歯医者のページを指でたどったのだ。
端的に言えば、ずっと虫歯だとわかっていたのに放置していた歯があまりにも痛いので、もうこれは歯医者に行くしか道が残されていない、と観念したというところだろうか。
もっと早く観念しておけ、という声が聞こえてきそうなのだけれど、仕方がない。
歯医者に足を踏み入れると、あのキュイーンというノイズが耳に突撃してきた。
その音を聞いただけで、黒板を引っかかれたときのような鳥肌が立った。
しかし、あれを今から自分が受けるのだ。
鳥肌を立ててばかりもいられない、と覚悟を決め、診察室に入った。